黄昏のエポック - バイロン郷の夢と冒険

かわまりの読書ルーム II

【読書ルームII(40) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 4/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 シントラ見物とリスボンの目ぼしい場所や歴史遺跡の見学を終え、バ…

【読書ルームII(39) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 3/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「僕は体で風土(ク ラ イ ミ ッ ト)を感じることができる。ほら、大学に…

【読書ルームII(38) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 2/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 あたりが暗くなりかけた頃、バイロンは自分の船室に引き上げた。が…

【読書ルームII(37) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 1/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「ヨーロッパ大陸はナポレオンのおかげで火薬庫同然だ。」クィー…

【読書ルームII(36) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 13/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ローマに一ヶ月滞在した後、バイロンはヴェニスに帰ることにした。ホブハウスはバイロンに尋ねた。「ナポリは見ないのか?」バ…

【読書ルームII(35) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 12/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 [ローマのトレヴィの泉] 「僕はイタリア語は苦手だから、元気になったら内容を翻訳して僕に教えてくれ。今は健康を取り戻す時だ…

【読書ルームII(34) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 11/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 [同じラテン系の国でもナポレオン・ボナパルトに対する評価はスペインとイタリアでは正反対のようである。上はヴェネツィアの美…

【読書ルームII(33) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 10 /13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「ああ、バイロン。世が君を愛さないなんて、そんなことがあるものか・・・。世は君のことを愛しすぎるほど愛していたし、今で…

【読書ルームII(32) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 9/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 クリスマスが終わり、年が明けて、ヴェニスはカーニバルの季節になった。先輩詩人のトマス・ムーア宛ての手紙の中にバイロンは詩…

【読書ルームII(31) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 8/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「心は息を止めなければならない。そして愛は眠らなければならない。もうさすらうのはよそう。もう夜は更けた。心は愛に酔いしれ…

【読書ルームII(30) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 7/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「これは呪いじゃないか・・・。バイロンのあの整った顔立ちをした頭のどこからこんなに毒に満ちた言葉が出てくるんだろう・・・…

【読書ルームII(29) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 6/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「僕はここで、どこかの屋敷の部屋を借りて住むんだ。」とバイロンが言った。「でも、旅はするだろう。憧れのイタリアに着いてロ…

【読書ルームII(28) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 5/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 警官に付き添われてスカラ座の回廊を出口に向かって歩いている間も警察が用意した簡素な馬車に揺られている間も、バイロンは不安…

【読書ルームII(27) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 4/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロンは大型ヨットを二人の水夫と共に借りきってホブハウスをジュネーブ湖一周の旅に誘った。「見物するのは三ヶ月前にシェリ…

【読書ルームII(26) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 3/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 半年以上前の一八一六年四月二十五日、船で大陸に向けてイギリスから出立したバイロンを、ホブハウスは波止場で船の帆先が水平線…

【読書ルームII(25) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 2/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「ここに来る前に君に宛てた手紙にも書いたとおり、彼女は最近匿名で『グレナーヴォン』という小説を書いて発表したが、この本の…

【読書ルームII(24) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第三話 ため息橋にて (1816年秋-1818年初、イタリア 1/13) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。ヴェネツィアの写真を多数掲載予定。 [ヴェニスの「ため息橋」はサンマルコ広場の隅、グラン・カナル(大運河)の河口でアドリア海…

【読書ルームII(23) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 6/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 その後、ホブハウスはほとんど毎日のようにバイロンを訪ねて旅行中の計画やイギリスで自分がバイロンに代ってできることなどを細かく尋…

【読書ルームII(22) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 5/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「拝啓 親愛なるバイロン卿。つい最近知ったある事実によって、私は貴殿がどう主張しようとバイロン夫人と貴殿がこれ以上は一緒には暮…

【読書ルームII(21) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 4/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスター私は何て大きな間違いを犯してしまったのでしょう。私はBが私に相応しいと周囲に言われて自分でもそう思いこんでい…

【読書ルームII(20) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 3 /6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスターBの姉が逗留しています。彼女を観察しているうちに彼女がどういう人なのかわかってきました。彼女がBに生き写し…

【読書ルームII(19) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 2/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 一八一五年一月二日、男爵ジョージ・ゴードン・バイロン卿と男爵ラルフ・ミルバンク卿の令嬢アン・イザベラ・ミルバンク嬢はイギリス北…

【読書ルームII(18) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】   目次(掲載順)

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 1/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスター 月日の立つのの何と早いことでしょう。この前お手紙を差し上げたのはいつだったかしら。何かと落ち着かなかった一八…

【読書ルームII(17) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 17/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 シェリーが燭台を持って立ち上がり、真っ暗な周囲を蝋燭の火で照らすとクレアは部屋の隅の安楽椅子の上で体を折るようにして眠っていた。バイロ…

【読書ルームII(16) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 16/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 『アビドスの花嫁』や『異教徒』みたいなトルコを舞台とした異国的な作品よりも一層、深い哲学的な内容になるんですね。僕は自由というのは素晴…

【読書ルームII(15) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一话 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 15/17 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 一同はまず、黙ったまま運ばれてきたコーヒーをすすった。まだ日没までには時間があったが、風が吹きすさぶ窓の外はすでに暗くなっていた。「僕…

【読書ルームII(14) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 14 /17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロンの質問にシェリーは真顔になり、そして言った。「僕は薪をくべなくてもいい火について真剣に考えていましたが、もし、太陽で起きている…

【読書ルームII(13) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 13/17 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 シェリーがここまで話した時、それまで鋭い目を光らせながら黙って聞いていたメアリーが口をはさんだ。「パーシー、あなたは自然の秘密を解き明…

【読書ルームII(12) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 12/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 戻ってきたロバートは左の小脇に大きな黒猫を抱え、右の小脇にバイロンに言いつけられた二冊の本を抱えた上に火を消した二本の燭台を右手で器用…

【読書ルームII(11) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 11/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 階下ではクレアの歌声が続いていたが、窓の外では雲の流れが速く、今にも雷雨が襲ってきそうな不穏な気配が漂っていた。 突然、階下のクレアの歌…