黄昏のエポック - バイロン郷の夢と冒険

かわまりの読書ルーム II

Entries from 2021-08-01 to 1 month

【読書ルームII(82) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 1/16) 愛らしいワルツよ!汝のとろけるような調べを聞けば、アイルランドのジッグも、古風なリガドゥーンもスコットランドのリールも色あせ、田舎の踊りなんかどうでもよくなる。ただ…

【読書ルームII(81) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 18/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「ケンブリッジでマシューズを待っているのは相も変らないライプニッツやら、マクローリンやら、オイラーやらだ。」とホブハウスが…

【読書ルームII(80) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 17/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「みなさん、先月僕は、『イングランドの詩人とスコットランドの批評家』を脱稿しました。去年の春から一年かけて全部で千行を越え…

【読書ルームII(79) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 16/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロンはさらに磨きをかけて泥の匂いも消えた骸骨にわずかばかりの酒を注いで飲んでみた。バイロンが修道士のものだと信じている…

【読書ルームII(78) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 15/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 僕がこの宝石をいとおしく思うのはみせかけの輝きのせいではない。この石が光り輝いたのはほんの一瞬、石は元の持ち主と同じくバラ…

【読書ルームII(77) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 14/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 帰りの道すがら、馬の手綱をフレッチャーに握らせ、ゆっくりと歩む馬の上でバイロンは腕組みをしてうなだれた。バイロンとマシュー…

【読書ルームII(76) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 13/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 その夏、ロンドンはかつてないほど暑かった。バイロンはマシューズらがロンドンに来る前からフレッチャーに衣類と馬の番をさせて前…

【読書ルームII(75) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 12/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 またもやめぐってきた、クリスマスを目前にした頭の痛い期末試験が終わり、仲間内で酒を酌み交わしながらバイロンは言った。「これ…

【読書ルームII(74) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 11/18 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 のどかな田園風景を望む小高い場所に来た時、バイロンは馬を繋ぐことのできる木と座ることのできる草地を見つけて馬を下りた。エー…

【読書ルームII(73) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 10/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「どうだ、『遁走詩集』よりもまとまっているだろう。」とバイロンが言うとホブハウスは「そりゃそうじゃなくちゃ・・・。」と言っ…

【読書ルームII(72) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 9/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 デービス、マシューズ、ホブハウスの三人がフレッチャーが御者を勤めるバイロンの馬車に乗ってケンブリッジに戻る日、フレッチャーが…

【読書ルームII(71) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 8/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 二人は同時に水に飛び込んだ。両院議事堂の前を泳いでいる間、二人は頭を揃えて一緒に泳いでいたが、ウェストミンスター橋を過ぎたこ…

【読書ルームII(70) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 7/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 早朝にケンブリッジを立った一行は暗くなる前にロンドンに到着した。ホブハウス家のロンドン邸でそれぞれの部屋をあてがわれ、自家用…

【読書ルームII(69) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 6/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ユークリッドの公理に明け暮れる幸せな青春よそれ以外に出来ることはほとんどない。英語さえろくに書けず、古代人が引いた幾何学の線…

【読書ルームII(68) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 5/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「ハロー校ではシーツで天井に放り上げるのが新入生の洗礼式の遣り方でした。僕は面白かったので怖がる新入生のぶんまで買って出まし…

【読書ルームII(67) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 4 /18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 溺れかけて肺を患ったジョン・エーデルトンは初秋の頃にはもう少しで聖歌隊に復帰できるほどに回復した。バイロンはエーデルトンを…

【読書ルームII(66) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 3/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 寮にたどり着くとバイロンはエーデルトンを見て慌てふためく寮監に事故について説明し、寮監に手伝ってもらってベッドに少年を横たえ…

【読書ルームII(65) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 2/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 十七歳になって大人並みの体格になったバイロンは夏の初めにケンブリッジ大学トリニティー・カレッジへの入学を許可されて十二歳の時…

【読書ルームII(64) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第六話 若き貴公子(一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス 1/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「あいつは変人だ。」とケンブリッジ大学トリニティー・カレッジに入学したばかりの富豪の息子ホブハウスが母校イートン校の教員助手…

【読書ルームII(63) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 9 /9 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ジョージはその後も何度も馬に乗ってチョワーズの領地に出かけた。ジョージは一目でいいからまたメアリーを見たいと思い、メアリーが…

【読書ルームII(62) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 8/9 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 待ちに待った夏休みが訪れ、ニューステッドに帰ったジョージは去年より背丈も伸び、馬に乗る時にマレーに持ち上げてもらう必要がなくな…

【読書ルームII(61) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】  

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 7/9) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 秋になって学校が始まり、ジョージはクリケットの対外試合に出場することになった。チームの主将が審判に掛け合い、攻撃の際に足が速く…

【読書ルームII(60) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 6/9 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 少年の名前はトムと言った。ジョージは足の裏全体を地につけることのできない右足のつま先を地につけ、できるだけ速く歩いてトムに追い…

【読書ルームII(59) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 5/9) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 坊ちゃんが十二歳の誕生日を迎えて間もなく、ハンソンは坊ちゃんを伴って自分の長男のチャールズが学んでいる私立の寄宿学校、いわゆる…

【読書ルームII(58) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 4 /9 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ニューステッドで暮らす二回目の夏、もはやメイ・グレーが来ることもない寝室の窓辺に寄りかかって、薄暮の中に沈む窓の外の沼沢地を…

【読書ルームII(57) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 3/9) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 こうして、一七九八年の十一月、三ヶ月前にニューステッドに越してきたばかりの坊ちゃんとその母親をノッティングハムに移す準備が始め…

【読書ルームII(56) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 2/9) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「坊ちゃん。よくお聞きください。」坊ちゃんは毛布を被ったまま何も答えなかった。「メイ・グレーはもう来ません。坊ちゃんはメイ・グ…

【読書ルームII(55) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第五話 小公子(一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス 1/9 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 少年の日の数々の場面よ、それらに纏わる懐かしい思い出が過去とは比べようもない現在を曇らせる。科学の知識が頭脳の内部を初めて照ら…

【読書ルームII(54) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 18/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロンは気分転換も兼ねて、イングランド北西部、マンチェスタ…

【読書ルームII(53) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニア→ギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス 17/18) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ハンソンからようやく旅費を借りることができ、荷物をまとめ、す…