黄昏のエポック - バイロン郷の夢と冒険

かわまりの読書ルーム II

闇のくまさん泣かないで。

闇のくまさん(https://youtu.be/XltGbxSUNQ0)、【安倍さんのいない世界で僕たちは生きて行く。頑張ろう。】って、勇ましいタイトルの動画をアップしたけれど、終わりのほうでやはり泣いちゃったね。今は泣く時かもしれない。喋るよりも書くことが好きで友人を含む公の場では涙無しのわたしだって、ワープロを叩きながら目から涙が溢れることがあるんだから⋯。でも、新しい参議院議員が国会に集まる時迄だよ。だって、安倍さんの理念は日本国民の一人一人の中で灯火になったり、反対意見がある日本人の中では反芻されて新しい日本を作る階段のステップになったり、みんなの心がそうやって築かれる階段の一段一段を照らす光になるんだもの⋯。だから安倍さんは今回の事件で心を動かされた一人ひとりの日本人の心、いいや、良心があってこの事件の情報に接することができた世界中の人々の中で生きているのと同じなんだから。一人一人の心の中では灯火の明るさでも安倍さんの周囲に居た志を持った政治家の中からは独裁政治や人権と言論の自由に対する抑圧を地上から払拭する業火に火をつける人がきっと出てくるからそういう人を探し出して政府に送り出さないといけないんだ。

 

安倍さんが倒れたのが選挙演説中だったというのは象徴的な出来事だったのかもしれない。このことによって安倍さんは日本風に言えば正に言論の自由の守護神になったようなものなんだもの。わたし達日本人がその価値を信じて疑わない言論の自由がまさか一人の狂っているとしか思えない男の暴力によって破壊されるとは誰も予測出来なかったけれどね。

 

さて、最近「プロメテウス」のほうをアマゾンお任せ出版をそちらのブログで宣伝してそちらに関わったり、もう始まってしまった猛暑に辟易したかと思えば電力需給逼迫やらウクライナ戦争による天然ガスの需給の逼迫など、原子力開発に関心を持っているわたしとして看過出来ない事態に上記の作品の出版を急がないといけない事態の中、ロマン主義を基調としているこちらのほうのブログに安倍元首相の死去に伴う感想のような内容を掲載したくなったことには当然ですがこちら「黄昏のエポック」を全文掲載したブログのテーマと切っても切れない理由があります。それは端的に言って、志半ばに倒れた人の無念をどう晴らすか、またわたし達人間はなんらかの意識を共有しながら生きていけるのだろうかという問いに基づいています。また、安倍前首相の死去に先立って埼玉県で起きた訪問医師の散弾銃による殺害事件という事件もありました。何かに突き動かされるかのように献身的に働いてきたこの医師の死の報道に接した時、わたしは「人間って蟻みたいだ。」と思ったのです。殉職したに等しいこの医師の無念を晴らすためには医師やその他の医療の資格を持つ者が同医師が担当していた患者を分担してケアに勤める以外道は無いのです。そして今回の安倍元首相の死はわたしたちの信念に火をつけ、わたしたち一人一人が安倍元首相の信念を共有することによって彼の死を死でなくし、彼の存在を永遠のものにすることができるのです。

 

本作品の最終話でイギリス人のバイロン男爵の死を看取ったイタリア人伯爵令息のピエトロ・ガンバにわたしは「バイロン郷の詩句を胸に、バイロン郷が望んだように行動すれば、バイロン郷は僕らの中で生きているのと同じだ。」という感慨を吐露させました。2人はギリシャオスマン帝国から独立させるための外国人義勇軍を組織して戦闘に参加しているところでした。そして、バイロンの故国イギリスこそ当時は議会制民主主義や現代の先進国の人々が規範にしている人権や自由の思想が浸透してそれらを守るための制度が構築されようとしていましたが、一方のピエトロ・ガンバの国イタリアはルネサンス以来分権国家の中で育ってきた商工業が強大な力を振うオーストリアに征服され、オーストリアによる搾取の只中にありました。イギリス人とイタリア人の2人の貴族は他国に奪われたギリシャとイタリアの主権をどうにかして回復して自由と法の支配の上に成り立つ国家を成立させようとしたのです。

(続く)