黄昏のエポック - バイロン郷の夢と冒険

かわまりの読書ルーム II

Entries from 2021-08-01 to 1 month

【読書ルームII(22) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 5/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「拝啓 親愛なるバイロン卿。つい最近知ったある事実によって、私は貴殿がどう主張しようとバイロン夫人と貴殿がこれ以上は一緒には暮…

【読書ルームII(21) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 4/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスター私は何て大きな間違いを犯してしまったのでしょう。私はBが私に相応しいと周囲に言われて自分でもそう思いこんでい…

【読書ルームII(20) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 3 /6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスターBの姉が逗留しています。彼女を観察しているうちに彼女がどういう人なのかわかってきました。彼女がBに生き写し…

【読書ルームII(19) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 2/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 一八一五年一月二日、男爵ジョージ・ゴードン・バイロン卿と男爵ラルフ・ミルバンク卿の令嬢アン・イザベラ・ミルバンク嬢はイギリス北…

【読書ルームII(18) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】   目次(掲載順)

第ニ話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年 イギリス 1/6) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「親愛なるエスター 月日の立つのの何と早いことでしょう。この前お手紙を差し上げたのはいつだったかしら。何かと落ち着かなかった一八…

【読書ルームII(17) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 17/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 シェリーが燭台を持って立ち上がり、真っ暗な周囲を蝋燭の火で照らすとクレアは部屋の隅の安楽椅子の上で体を折るようにして眠っていた。バイロ…

【読書ルームII(16) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 16/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 『アビドスの花嫁』や『異教徒』みたいなトルコを舞台とした異国的な作品よりも一層、深い哲学的な内容になるんですね。僕は自由というのは素晴…

【読書ルームII(15) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一话 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 15/17 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 一同はまず、黙ったまま運ばれてきたコーヒーをすすった。まだ日没までには時間があったが、風が吹きすさぶ窓の外はすでに暗くなっていた。「僕…

【読書ルームII(14) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 14 /17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロンの質問にシェリーは真顔になり、そして言った。「僕は薪をくべなくてもいい火について真剣に考えていましたが、もし、太陽で起きている…

【読書ルームII(13) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 13/17 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 シェリーがここまで話した時、それまで鋭い目を光らせながら黙って聞いていたメアリーが口をはさんだ。「パーシー、あなたは自然の秘密を解き明…

【読書ルームII(12) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 12/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 戻ってきたロバートは左の小脇に大きな黒猫を抱え、右の小脇にバイロンに言いつけられた二冊の本を抱えた上に火を消した二本の燭台を右手で器用…

【読書ルームII(11) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 11/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 階下ではクレアの歌声が続いていたが、窓の外では雲の流れが速く、今にも雷雨が襲ってきそうな不穏な気配が漂っていた。 突然、階下のクレアの歌…

【読書ルームII(10) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 10/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 そんな子供じみた戯言(たわごと)を大人になって唱えることが許されるとでも思っているのか?いいか、女に関する限り、君が夢だと理想だとか言っ…

【読書ルームII(9) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 9/17 ) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「その時突然、私は見た。一群れの黄金(こがね)色の水仙を。」「湖に沿って、木の下で、そよ風に揺れて踊っている水仙を・・・。」 文学に関する…

【読書ルームII(8) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 8/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 バイロン、シェリー、そしてメアリーの三人、時折間の抜けた横槍を入れるポリドリを含めた四人はよく自由思想について語った。そして、話題はス…

【読書ルームII(7) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 7/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 ジュネーブのホテル英国(オ テ ル ・ ト ゙ ・ ラ ンク ゙ ル テ ー ル)の食堂でまた食事を共にする約束などするまでもなく、バイロンはパーシー・ビッシュ・シ…

【読書ルームII(6) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 6/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 同じ年の二月の初め、凍てつく夜のことだった。 妻との別居のこと、別居後の生活費、生まれたばかりの子供の養育費のことなど、数々の頭の痛い問…

【読書ルームII(5) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 5/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「閣下(ロード)、とうとうまた、お会いすることができました。これが私の姉メアリー・ゴッドウィン。こちらが姉の恋人で詩人のパーシー・ビッシ…

【読書ルームII(4) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 4/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 約三ヶ月前の一八一六年四月二十五日、バイロンは医者のジョン・ポリドリ、従者のウィリアム・フレッチャーとロバート・ラシュトンの三人を伴い、…

【読書ルームII(3) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 3/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 メアリー、クレア、ジョン・ポリドリの三人はとっくの昔に朝食を済ませているようだった。バイロンは朝食は我慢することにした。母親譲りの太り…

【読書ルームII(2) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 2/17) このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属します。 「閣下(ロード)起きていますか?」声の主はクレアだった。寝巻きを着たままのバイロンが歩み寄って扉を開けるとメアリーも一緒だった。「お早よ…

【読書ルームII(1) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

My days are in the yellow leaf; 私の日々は黄色い葉の中 The flowers and fruits of Love are gone; 愛の花と果実は消えうせた。 ジョージ・ゴードンバイロン 「この日、三十六年を生きて」より 第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス 1/17 ) この…