黄昏のエポック - バイロン郷の夢と冒険

かわまりの読書ルーム II

Entries from 2021-09-01 to 1 month

【読書ルームII(96) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 15/16) 「親愛なるバイロン君のミルバンク嬢への求婚の顛末について、僕には特別な感想はない。メルボルン夫人から伝えられた言葉がそのままミルバンク嬢ものだと仮定しての話だが、…

【読書ルームII(95) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 14/16) 「では、僕は出立に間に合うようにその手紙を書きます。それから・・・。」と言ってバイロンは一層声を潜めた。「僕の手紙を読んだキャロの反応を貴女に見ていただきたいので…

【読書ルームII(94) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 13/16) ラム夫人は黙って馬車の窓の外を眺めていたが、バイロンのほうをちらっと振り向いただけでまた窓の外を見た。「いいか、これだけは肝に銘じてほしい。君はラム卿なしには生き…

【読書ルームII(93) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 12/16) バイロンは書きさしの事務の手紙を脇に押しやり、びっこを引きながら客間に向かった。両夫人は客間で立ったままうろたえていた。「バイロン卿、家にいらっしゃったので安心し…

【読書ルームII(92) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 11/16) 「その奥の手というのは?」「それを説明する前に、まず君とラム夫人とのスキャンダルの正体について君自身が知っておく必要がある。いいか。ラム卿の敏腕、温厚な人柄、冷静…

【読書ルームII(91) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 10/16) バイロンはベッドの上に腰掛けているラム夫人を見やったが、しぶしぶ扉を開け、部屋の入り口に立ちはだかると扉の外に立っているホブハウスに言った。「な、僕は上から下まで…

【読書ルームII(90) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 9/16) 「僕はウィリアム・ラム卿と進歩(ホィッグ)党の評判だけは絶対に傷つけたくない。だから僕のほうから彼女に話しかけたり手を出したりはしていない。」「それだけで済むのかな・…

【読書ルームII(89) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 8/16) 夏に入ってもバイロンには社交場からの招待状がひっきりなしに寄せられていた。バイロンはそれらの招待が進歩(ホィッグ)党員からか王党(トーリー)派からかを問わず、一応は出席…

【読書ルームII(88) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 7 /16 メルボルン夫人が指定した日時にバイロンはメルボルン・ハウスに出向いた。メルボルン夫人は化粧中ということですぐには現われなかった。バイロンは気が赴くままにオランダ直輸…

【読書ルームII(87) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 6/16 メルボルン・ハウスを初めて訪れてから二、三日ほど後からバイロンのアパートにはいろいろな社交場からのバーティーの案内が届くようになった。「ある朝、目覚めたら自分は有名に…

【読書ルームII(86) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 5/16 ホランド・ハウスと同じく、広間に十分な人数が集まった頃に楽団が静かに席を占め、音楽を演奏し始めた。バイロンは思い出したことがあり、控え室と言ってあてがわれた部屋にいる…

【読書ルームII(85) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 4/16 「さあ、ここがバイロン卿の控えの間です。おつきの方は隣の部屋にいらっしゃいます。この二部屋をご自由にお使いになってください。」とラム夫人は言った。メルボルン邸の主な場…

【読書ルームII(84) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 3/16) 一週間後、そして二週間後、次第に変化していく自分の周りの空気を感じながらバイロンはホランド・ハウスの広間の入り口に置かれた長椅子に座り、集まった男の中に金髪の巻き毛…

【読書ルームII(83) 黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年初-一八一四年、イギリス 2/16) ホランド男爵夫妻が居住する館、通称ホランド・ハウスはロンドンの中心部から二マイルほど郊外にあり、冬枯れの木々に包まれた閑静な趣の館だった。今日もバイロンは従者と共に…